There is Nothing in This World Constant, but Inconstancy.

 

A Variable Star

 

 

目を開けたら、白い天井が目に入った途端に身体に痛みが走った。それだけで、生きているということが解った。
いつものように動かないことが認識できたので、目だけを動かしてみた。
規則正しい木目をゆるゆると追っていたら、次第に頭が覚醒して、先刻までに起きた出来事が走馬燈のように蘇ってきた。


藍染にやられた。


クロだと思っていたのは三番隊隊長の市丸ギンだった。
まさか藍染が全ての黒幕だったとは、思ってもみなかった。

くそっ、と歯を食いしばった。どうして気づかなかった…?

藍染がそれほどまでに狡猾だったということなのか。
しかし、それ以上に自分の迂闊さに腹が立った。
雛森を危険な目に遭わせた上に、守ることも出来ず、挙げ句自分もこの様だ。
全くと言っていいほど、歯が立たなかった。
全てにおいて、藍染たちの方が上だった。
てめえはそれでも隊長かよ、と自分で自分を罵ってみても、どうにもならない。


隊長か、と呟いて、日番谷はふと、自分が卍解したときのことを思い出した。
兎に角修行はした。
でも、強くなろう、とか、強くなりたい、とか、明確にそういうことを考えていたわけではなかったように思う。
雛森や誰かを守ろうと思ったわけでもない。

何故卍解に至ったのか、氷輪丸は何故自分に力を貸してくれるといったのか、実は今でもよくわからない。
だから、本当のところ自分の卍解はまだ未完成だし、卍解を維持するほどの霊力が、他の隊長格の人間に比べたら日番谷には足りない。
実際、卍解に至るまでには相当の修行が必要で、完成させるにも十年はかかるという。
十年なんて成長期の自分にはあっという間かもしれないとは思うが、それが今は非道くもどかしく感じて、日番谷は右手を天井に近づけるように伸ばし、ぎゅっと握りしめた。

当たり前だけれど、小さい手だ。誰も守れず、何も掴めなかったこの手。
強くなりたい、と心底思った。

 

氷輪丸、聞えているか?
もう一度、力を貸してくれ。
俺は、もっと強くなる。

 

 

何かが変わってしまった。
いい意味でも、悪い意味でも、日番谷には変化が訪れたのだ。
それに気づいた以上、もう同じところにとどまることは許されない。不変とは、なんと難しいことなのだろう。
変わらないでいて欲しいことは多いけれど、自分はこのままではいけないと思った。

藍染も、市丸も、このままにしておく訳にはいかない。
上に立つ「神」は、必要ないのだ。少なくとも、死神は「神」ではない。無論自分も神ではない。

 

出来ることから始めるしかないのだ。
出来ないことを出来るように。そのためにやるべきことをやる。今までもそうしてやってきた。
ならばこれからもそうすればいい。
リセットされた数字は、何度でも積み重ねることが出来る。

同じものを積み上げるのではない。一度積み上げたものが今の自分を形作っているのなら、再度積み上げたものは必ずそれ以上になる。
そこには自分と、自分以外の周りの人間が相互作用して作り出す色が加わるからだ。
そうやって、変わっていくことが出来る、だからこそ、それを肯定的に受け入れられる気がした。

歩こう、と日番谷は思った。
前に進むために。変化を臨もう、と。


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