Not an Integer

 

 

 

先日、僕のクラスに転校生が来た。しかも、いっぺんに六人もだ。
それだけならまだしも、なんというか、全員変わっていた(朽木さんはまあ普通そうだけど)。

朽木さん以外の五人は、一人はスキンヘッドだし(すっごく悪そう)、一人はおかっぱで綺麗だけどナルシストっぽいし(男だった)、一人は長髪の赤髪に入れ墨だし(高校生って入れ墨してもいいのか?)、後は白銀の髪を立てて、小さいのに眉間にしわの寄っている少年(なんか貫禄がある)と、そして、金髪で何だかもう訳の分からないオネエサマなオーラを出している女の人(制服姿が高校生に見えない)だ。
うちの学校には、規則ってものがないのだろうか。


この金髪の人は名前を松本さんといい(日本人だ)、僕の隣に座ることになった。

教卓の方から歩いてきた松本さんは、目が合うとふふ、と笑った。
綺麗な笑い方をする人だ。やっぱり、高校生じゃないみたいだ。


転校生は全員、黒崎くんの友達みたいだった。
まあ、黒崎くんのまわりはだいたいが変わってるから、みんなで居てもそんなに違和感はない。
でもあの松本さんとは、どこで知り合ったのだろう、とちょっと興味が湧いた。


松本さんは誰とでも気さくに会話をしていて、あの変な転校生たちとよくつるんでいる。
入れ墨の阿散井くんは朽木さんのことが好きなんだろうと思う。
日番谷くんは相変わらず眉間にしわを寄せている。
もしかしてあのスキンヘッド(斑目くんという)が松本さんの彼氏だったらどうしよう(別にどうもしないが)。

あんな風に裏表なさそうに笑うのに、謎っぽい感じのする松本さんが、ちょっと気になっていた。


何日かたった日の放課後、僕は一度校門まで行ってから、明日の宿題のプリントを机の中に忘れてきたことに気が付いて、どうしようか迷ったけれど元来た道を引き返した。


教室の前まで来て、ドアに手をかけたら、中から話し声がした。
誰も居ない教室の窓際の席の所に、松本さんと日番谷くんが居た。松本さんは机の上に腰掛けていた。

遠かったから、言葉は全部聞き取れなかったけれど、二人が他愛ない話で笑っていることはわかった。

夕日が松本さんの金髪に映える。

ふと、松本さんが窓の外を見た。日番谷くんに向かって何か言っているみたいだ。
それを聞いて、日番谷くんが眉をひそめて「うるせえよ、」と言っているのだけ、わかった。
でもそれを聞いた松本さんの顔は本当に嬉しそうで。
初めて松本さんのことを「可愛い」と思った。
それと同時に、松本さんが誰を好きなのかがわかってしまったような気がした。


見てはいけないものを見た。

開けかけた教室のドアをそのままにして、僕は学校を出た。


次の日僕は宿題を忘れていった。隣の松本さんはいつもみたいに笑っていた。


授業中にこっそり松本さんの視線を追ったら、やっぱりその先には日番谷くんの姿があった。
ああ、やっぱりそうなんだ。
なんか、いいなあと思ってしまった。

今日は宿題を忘れないようにしよう、と僕は心に決めて、授業に集中することにした。


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